カクテルの「隠し味」がリスクになる時。アレルギーを巡るバーテンダーとお客様の約束

アレルギー食材

「入っていないだろう」を疑う勇気

バーは日常を忘れ、リラックスして楽しむ場所です。
しかし、重篤なアレルギーを持つ方にとって、カクテルの一滴は時に大きなリスクとなり得ます。
バーテンダーはレシピを完璧に把握し、安易な提供を慎むこと。
そしてお客様は「これには入っていないだろう」と過信せず、一言添えていただくこと。
この双方向のコミュニケーションこそが、最高の一杯を楽しむための「最初の作法」です。

今回、私の経験上バーの現場で注意が必要な3つの食材について深掘りします。

様々な注意すべきアレルギー食材

1. ナッツ:形を変えて潜む「オイル」の影

カシューナッツやアーモンドといった固形物は、おつまみとして出てくるため意識しやすいものです。
しかし、バーテンダーが特に警戒するのは「オイル」「エッセンス」です。
香り付けにナッツオイルを数滴垂らしたり、リキュールの中にナッツ成分が含まれていることも多々あります。
「ナッツを食べていないから大丈夫」ではなく、微量な成分への注意が必要です。

2. バラ科:多岐にわたる「副材料」の罠

リンゴ、モモ、イチゴ、サクランボ等、これらはすべて「バラ科」に属します。
リキュールや、副材料、もっと細かく言うとはちみつなんかも花の由来次第では該当してしまう。
特に私が現役時代に最も気を配ったのは「リンゴ」です。
カクテルそのものだけでなく、おつまみの料理に使われる「リンゴ酢」など、調味料の中に隠れていることが非常に多いからです。
また、マカロンなどに使われるペクチンや、アーモンド(これもバラ科です)の成分など、リキュールや製菓材料にまでアンテナを張る必要があります。

3. 卵:テクスチャーを作る「魔法の卵白」

特に注意したいのが、カクテルの泡立ちを良くするために使われる「卵白」です。
例えば「ホワイトレディ」。
通常はジン、コアントロー、レモンジュースで作られますが、口当たりをまろやかにし、美しい泡を作るために少量の卵白を加えるレシピがあります。
私がいたホテルバーでも、この「ツイスト(応用)」を採用していました。
メニューに記載がなくても、技法として卵白が使われる場合がある。
これはバーにおける盲点になりやすいポイントです。

他にも気を付けること

これは特にバーテンダーや飲食従事者は周知のところだとは思いますが、念のため。
コンタミネーションはご存じですか?
製造過程で含まれる可能性があるもの。
例えばアレルギーで小麦で、商品に使用がなくとも、商品の作られている工場でパン等小麦を扱っているとか。
また、厳密にはコンタミネーションではないかもしれませんが、例えば鮭がエサとして海老を食べていて、その鮭を食べたことにより、海老アレルギーが発症してしまう。
私が勤務している時に、直接はお会いしたことはありませんがそのような事例あります。
可能性が0.0001%でもある限り、そこまで視野を広げ、注意を払う必要があります。

結びに:コミュニケーションが「盾」になる

アレルギーの重篤さは人それぞれです。
「加熱していればOK」
「生でなければ大丈夫」
といった個別のコンディションを、ぜひ遠慮なくバーテンダーに伝えてください。

プロのバーテンダーにとって、お客様からアレルギーの申告をいただくことは、決して「面倒なこと」ではありません。
むしろ、お客様の安全を守るための正確なデータ(仕様)をいただけたことに感謝します。
互いにリスペクトを持ち、情報を共有する。
その一言が、あなたを、そしてバーの夜を美しく守ってくれるはずです。

事故を防ぐコミュニケーション

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