カテゴリー: バーの作法と会話術

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  • バーテンダーとの会話、どう始める?「何を話せばいいか」の不安を解消する、魔法の第一声

    バーテンダーとの会話、どう始める?「何を話せばいいか」の不安を解消する、魔法の第一声

    「無理に」しなくていい

    まず知っておいてほしいのは、バーテンダーはお客様が「静かに過ごしたいのか」「話したいのか」を常に察しようとしているということです。
    無理に話しかけなきゃ、と身構える必要はありません。
    でも、もし「少しお話してみたいな」と思ったら、これから紹介するいくつかの方法を試してみてください。

    1. 魔法の言葉は「美味しい」の一言

    最も自然で、かつバーテンダーが最も嬉しいのは、提供されたお酒を一口飲んだ後の「美味しいです」という一言です。
    「これ、何のベースですか?」「この香りは何ですか?」と、目の前の一杯をきっかけにするのが一番スムーズです。
    自分の作ったものを褒められて嫌な気分になるバーテンダーはいません。
    そこから自然と、お酒の知識や裏話に会話が広がっていきます。

    出されたカクテル

    2. 「実体験」をさらけ出す

    以前も少し触れましたが、知識を語るよりも「今の自分」を伝えるのがスマートです。

    • 「実は今日、初めてバーに来たんです」
    • 「いつもはビールなんですけど、今日はおすすめを教えてほしくて」

    このように、自分の状況や好みを素直に伝えてみてください。
    私たちは「この人にバーを好きになってもらおう!」と、全力であなたの味方になります。

    3. 道具やバックバーに興味を持つ

    もしお酒のことが分からなくても、目の前にある「綺麗なグラス」や「並んでいるボトルのラベル」について尋ねるのも良い方法です。
    「あの青いラベルのボトルは何ですか?」
    「奥にあるウイスキーは何ですか?」
    バーにあるものすべてに、バーテンダーのこだわりが詰まっています。
    そこを突かれると、ついつい語ってしまうのがバーテンダーの性(さが)なのです。

    4. 「聞く」と「話す」の黄金バランス

    会話が始まったら、バーテンダーが他のお客様の注文を作っている間は、そっと会話を止めてお酒を味わう。
    ステア・シェイクをしている時は話しかけないほうがいいでしょう。
    そして、手が空いたタイミングでまた一言。
    この「バーテンダーの仕事の波」に合わせた会話ができるようになると、あなたも立派な「常連」の振る舞いです。

    ステア中は話さない

    結びに

    バーテンダーとの会話は、お酒をより美味しくするための「最後の副材料」です。
    肩肘を張らず、まずは目の前の一杯への感想から始めてみませんか?

  • 【保存版】バーで「残念な客」にならないためのNG集。プロが明かす、最高の一杯を引き出すマナー

    【保存版】バーで「残念な客」にならないためのNG集。プロが明かす、最高の一杯を引き出すマナー

    最高のカクテルは「相互の敬意」から生まれる

    「お客様は神様」という時代は終わりました。
    バーは、バーテンダーとお客様が共に心地よい空間を作り上げる場所。あなたが謙虚に、敬意を持って接することで、バーテンダーのスイッチが入り、本当に美味しい「本気の一杯」が届くようになります。
    今回は、知らずにやってしまいがちな「NG行為」をご紹介します。

    1. 写真撮影は「一言」がルール

    SNS全般の時代ですが、バーはプライベートな空間。
    他のお客様のプライバシーを守るためにも、カメラを出す前に「写真を撮ってもいいですか?」と一言伺いましょう。
    ほとんどの場合、他の方が映らなければ快諾されます。

    2. 避けるべき「3つの話題」

    バーには「宗教・政治・野球」の話は持ち込まないという暗黙の了解があります。
    これらは熱くなりやすく、隣のお客様と意見が対立してトラブルになりやすいためです。
    誰もが穏やかに過ごせるよう、これらはカウンターの外に置いておきましょう。

    3. 大声で「すみません!」と呼ばない

    バーテンダーは常にあなたの動向を見ています。
    声を張り上げるより、少し視線を送ってみてください。
    それだけで「何かご用ですか?」と声がかかるはず。
    その「少し待つ」時間もバーの楽しみ方です。

    4. バーテンダーを「バーテン」と呼ぶのはNG

    よく耳にしますが、実は「バーテン」は蔑称(べっしょう)に近いニュアンスを含みます。
    語源には諸説ありますが、かつて「バーの丁稚(でっち)」や「バーの店員(てん)」を略した、投げやりな呼び方として定着した歴史があります。
    私たちは「Bar(木)-Tender(優しい・世話役)」、つまり「優しい止まり木」でありたいと願っています。
    ぜひ略さずに「バーテンダー」と呼んでください。

    Bartender

    5. 知識自慢より「実体験」を語る

    バーテンダーにお酒の知識を披露する必要はありません。
    あなたが知識を語れば、私たちはプロとして「よくご存知ですね」と合わせますが、心の底では少し残念に思っています。
    それよりも、「蒸留所に行ってきた」「ワイナリーでこんな景色を見た」という実体験を聞かせてください。
    たとえ知識が間違っていても、お酒への愛情が伝わるお話は、私たちにとって何より貴重で、会話を弾ませる最高のスパイスになります。

    ワイナリー&蒸留所

    6. 騒ぐお客様には「普通のお酒」しか届かない

    カクテルは繊細です。
    私たちは気温や湿度、その日のレモンの酸味に合わせて、シェイクの回数や分量を1ml単位で調整しています。
    しかし、店内の空気を乱すように騒がれると、その「本気の調整」を届けるのが難しくなり、結果として「とりあえず冷えただけのお酒」になってしまうかもしれません。
    最高の一杯が飲みたければ、そのお店の「音」に馴染むことが近道です。

    バーで賑やかに

    いくつかご紹介しましたが、これは私が上司から指導していただいたものや、個人的に経験からのものとなります。
    全てが正しいわけではないかもしれませんが、考慮いただくに越したことはないかなと思ってます。
    是非悩んだら、お気に入りのお店でバーテンダーに聞いてみてくださいね。

  • 最初の一杯は何が正解?プロが教える「スマートな注文」と2杯目への導線

    最初の一杯は何が正解?プロが教える「スマートな注文」と2杯目への導線

    挨拶から始まる、心地よい夜

    予約をし、服装を整え、いよいよバーの扉を開ける瞬間。
    「手慣れた風」を装う必要はありません。
    控えめに、でもしっかりとバーテンダーに挨拶を交わす。
    その一言だけで、カウンターの空気は一気に和みます。

    最初の一杯に「ビルド」を勧める理由

    何を頼んでも自由なのがバーの良さですが、スマートに夜を始めたいなら、私は以下の3つを推奨します。

    • ビール
    • ウイスキー(ソーダ割り、ロックなど)
    • ビルドカクテル(ジントニック、モスコミュールなど)

    共通点は、シェイカーやミキシンググラスを使わず、グラスの中で直接仕上げる「ビルド」という手法で作れること。
    なぜこれがいいのか。
    それは、バーテンダーが「最も早く出せる」からです。

    ビール

    バーテンダーの「怒涛の5分間」を知る

    お客様が入店してからの数分間、バーテンダーの頭の中はフル回転しています。
    お絞りの用意、メニューの提示、お通しの準備、そして伝票の作成……。
    ここに時間の掛かるカクテルが入ると、乾杯までの時間が延びてしまいます。
    まずはサッと出てくる一杯で喉を潤し、お店の空気に馴染む。
    これが自分自身を「ソワソワ」から解放するコツです。

    最高の2杯目のために、1杯目を活用する

    本命のカクテルやオリジナルカクテルは、ぜひ「2杯目」に持っていきましょう。
    1杯目を飲んでいる間に、私たちは「この方はどれくらいのペースで飲むのか」「どんな表情でお酒を楽しんでいるか」を観察し、会話を通じてあなたの好みを深く探ります。

    1杯目を楽しんでいる最中に「次は少し甘めのカクテルを」と先に伝えておく。
    そうすれば、バーテンダーは他の注文をこなしながら、あなたの2杯目のために最良の準備を整えることができます。

    1杯目を飲みながらメニューを開く
  • 何を着ていくのが正解?バーテンダーが「お客様の服装」から読み取っていること

    何を着ていくのが正解?バーテンダーが「お客様の服装」から読み取っていること

    バーテンダーは、あなたの「装い」から物語を想像する

    道に迷ったとき、無意識に「優しそうな人」「詳しそうな人」を探して話しかけますよね。
    バーのカウンターでも、実は同じことが起きています。

    バーテンダーは、お客様が扉を開けた瞬間から、「今日はどんなお話をご希望か」「どんな一杯を求めておられるか」を想像し始めます。
    そこにあるのは「お洒落かどうか」という評価ではなく、お客様が放つ「空気感」の読み取りです。

    「サンダル・短パン」を避けるべき本当の理由

    基本的にはお店の規定(ドレスコード)に従えば良いのですが、リゾート地を除いて、サンダルや短パンは避けるのが無難でしょう。
    なぜなら、バーの雰囲気を作り上げる要素には、内装や音楽だけでなく「客層」も含まれるからです。
    少しの清潔感を意識するだけで、あなた自身もその美しい空間の一部になれるのです。

    「どう扱われたいか」を服に託す

    服装は、あなたからバーテンダーへの無言のメッセージです。

    • しっとり静かに飲みたい時: スーツやビジネスカジュアル。落ち着いた大人の対応を期待していることが伝わります。
    • 少し気分を上げたい時: 個性的な色使いやスポーティーな装い。
      アクティブな会話のきっかけになるかもしれません。
      「今日はこういう気分なんだ」という自己表現を服装に込めることで、バーテンダーもより適切な距離感で接することができます。

    持ち物は、最高の「会話の種」になる

    様々な要素

    爪、手首、靴、バッグ、ネクタイ、ベルト……。バーテンダーは驚くほど細部から情報を収集しています。
    「物を大切にする方だな」「こだわりが強い方だな」「高級志向だな」といった情報は、お酒や会話の選択に直結します。
    例えば、年収1億の社長にデイリーワインを勧めて「何もわかってない」と思われるか、希少な10万円のワインを勧めて「私の好みを理解している」と喜んでいただけるか。

    お客様が求めていることを、言われる前に提供したい。
    そのために、私たちはあなたの装いからヒントをいただいているのです。

    結びに

    背伸びをする必要はありません。自分に似合い、その場に見合った装いを意識するだけで、バーテンダーとの会話は驚くほどスムーズになります。
    ぜひ、少しだけ鏡の前で「今日の自分」を整えてから、バーの扉を叩いてみてください。

    会話
  • 予約と入店のスマートな振る舞い

    予約と入店のスマートな振る舞い

    なぜ「たった1本の電話」が、あなたの夜を格上げするのか

    バーに慣れていない方から「バーって予約してもいいの?」と聞かれることがありますが、答えはYESです。
    むしろ、強くお勧めします。

    バーテンダーも一人の人間です。
    休憩を取るタイミングや、翌日の仕込みに追われている時間もあります。
    何より、オーセンティックなバーには「毎週○曜日の○時」と席を予約されている常連様もいらっしゃいます。
    予約なしで訪れ、希望のカウンターが埋まっていてテーブル席へ……という残念な結果を避けるためにも、事前の一報がスマートです。

    「5分前」の気遣いが、おもてなしの質を変える

    たとえ直前であっても、「今から3名、空いていますか?」と電話を一本入れるだけで、バー側の受け入れ態勢は劇的に変わります。


    また、現代のバーでは顧客管理がデータ化されていることも多く、予約をすることであなたの名前や好みが記録され、次回来店時にスムーズな対応を受けられるというメリットもあります。

    電話予約

    注意したいのは、「俺だよ、これから行くから」という名乗らない電話。
    超常連様ならいざ知らず、現場の若手スタッフにとっては、誰かわからないまま受けてしまい先輩に報告できない……という、非常に困る(そして怖い)状況を作ってしまいます。


    スマートな大人として、名前はしっかり伝えましょう。

    カウンター希望でも、3名以上なら「まずはテーブル」が鉄則

    「バーといえばカウンター」というイメージがありますが、3名以上で訪れる際は、まずはテーブル席を選ぶのが粋な振る舞いです。

    実はこれ、提供スピードに関係しています。
    カウンターの場合、基本的には一人のバーテンダーが一組のお客様と向き合いますが、テーブル席であれば複数のスタッフが連携して一斉にファーストドリンクを作れるため、お待たせする時間が短くなります。

    まずはテーブル席でゆったりと一杯目を楽しみ、おつまみが揃い、カウンターに空きが出たタイミングで「移動してもいいですか?」と声をかける。

    3人で乾杯

    この余裕こそが、バーテンダーとの良い関係性を築く第一歩です。