「静寂」を混ぜる。プロがガラス製のミキシンググラスにこだわる理由

ミキシンググラス

「混ぜる」時間の美学

マティーニやマンハッタンなど、お酒同士を静かに混ぜ合わせる「ステア」という技法。
その主役となるのがミキシンググラスです。
最近では冷却効率が非常に高いステンレス製のものも増えていますが、私はやはり、伝統的なガラス製に特別な愛着を持っています。

ステンレス vs ガラス:選ぶ基準は「音」にあり

ステンレス製のミキシンググラスは、確かに冷えるのが早く、機能的です。
しかし、バースプーンで氷を回す際、どうしても「シャカシャカ」という金属特有の擦れる音が鳴ってしまいます。
一方、ガラス製は、厚みのあるガラスと氷が触れ合う「カラン、カラン」という澄んだ音が響きます。

バーという空間において、音は重要な演出の一つです。
「余計な音を鳴らさず、静寂の中でカクテルを仕上げる」 そのこだわりこそが、バーテンダーとしての矜持(きょうじ)であり、お客様に提供する時間の質を決めると私は考えています。

ミキシンググラス比較

ホームバーでの選び方:厚みと注ぎ口

もしご自宅用にミキシンググラスを選ぶなら、以下のポイントをチェックしてみてください。

  • ガラスの厚み:
    ある程度厚みがあるものの方が、氷が当たった時の音が心地よく、また保冷性も高まります。
  • 注ぎ口のキレ:
    ストレーナー(蓋)を当てて注ぐ際、液だれしにくい形状のものを選ぶと、所作がグッと美しくなります。
  • デザイン:
    伝統的な矢来(やらい)カットのものは、光を反射して宝石のように輝き、置いているだけでホームバーの格が上がります。

結びに

道具を選ぶとき、機能性だけで選ぶのは少しもったいないかもしれません。
「どんな音が鳴るか」「どんな手触りか」。
五感で道具を選べるようになると、カクテルを作る時間は、もっと贅沢で、もっと深いものになります。
今夜は少し耳を澄ませて、ステアの音を楽しんでみませんか?

ミキシンググラスから注ぐ

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